2017-02-17 発表! これがアラブ首長国連邦の火星移住計画「Mars 2117」

米航空宇宙局(NASA)は、2030年代[日本語版記事]に人間を火星に送ろうとしているが、そのための現実的な予算はないという。スペースXの創業者兼CEOのイーロン・マスクは、2020年代に火星に入植する最初の人間を送るつもりだと述べている(日本語版記事)が、同社もまた、行政からの大規模な協力なしでは、その大胆な計画を実行するための予算が不足しているという。

火星に人間を移住させる計画をもつ事業体のリストに、このほどアラブ首長国連邦(UAE)が加わった。UAEでも現時点において、宇宙探査や技術の予算が不足しているというが、UAEは人間を火星に送る計画に関してはるかに堅実なタイムラインを持っているようだ。UAEはその時期を、いまから1世紀後の2117年に設定している。

UAEを構成する7つの首長国のひとつ、ドバイ首長のムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥームは、ドバイで2月12日から14日(現地時間)に開催された「世界政府サミット」で、UAEによる火星移住計画について発表した。ムハンマド首長はその後の一連のツイートのなかで、「『Mars 2117』と名付けられたこのプロジェクトでは、国際協力を得ながら、火星にミニシティやコミュニティをつくる展望を抱いています。来るべき次の世紀に、科学や技術、知識に対する若者たちの情熱が発展していくことを望んでいます」と説明している。

UAEの宇宙機関は、すでにフランスおよび英国の宇宙機関と協力関係を築いており、国際的なプログラムを思い描いている。

ドバイの広報室によると、UAEのエンジニア、科学者、研究者たちのチームが、火星における人間が住む都市に関するコンセプトを作成している。その都市は、人間が入植する前にロボットによって建設されるという。この火星の都市には、交通機関、電力発電所、食料、そして(発表されたコンセプト画像によれば)非常にモダンな外観のビルが存在する模様だ。

このような計画は、わずか3年前に設立された宇宙機関にとってはかなり野心的なものだ。だが、UAEは以前、火星の大気圏を調査するために、「Hope」という名前の自動車サイズの宇宙探査機を打ち上げる計画を発表しており、この新しい目標は、火星に対するUAEの関心と一貫性がある。

ただし、火星に人間を送るというのは野心的なミッションだ。欧州、ロシア、中国など、ほかの国際的な宇宙コミュニティの多くは、火星より月面資源の開発により大きな関心を示している。(Wired)