2016-05-09 VRに向け独自衛星で宇宙空間の3次元映像を撮影

米国Space VR社は、米国サンフランシスコに拠点を置くベンチャー企業です。本気で宇宙空間をVR(Virtual Reality)で楽しめるようにする事業に取り組んでいます。

 VRとは、日本語で「仮想現実感」と訳されます。VRヘッドセットと呼ばれる装置頭に装着し、目の前のスクリーンに映し出される映像を見ながら、仮想的な空間を高い臨場感で体験できるものです。

 米国Space VR社は、2016年第2四半期までに、OverView Oneというカメラを国際宇宙ステーションに設置し、16Kの高精度カメラで撮影し、VR化する取り組みを始めようとしています。iPhone、Androidなどのスマートフォンからの映像を楽しめるようにすることも考えているようです。

さらに、米国Space VR社は、天球映像を撮影可能な4Kの高精度カメラを搭載した人工衛星OverView 1を自社で打ち上げる計画を立てています。高度200マイル(約320km)の宇宙空間を6ヶ月にわたり撮影し、VR化するようです。この取り組みは、Elon Musk氏率いる米国ロケットベンチャー企業Space X社と連携するといいます。

 日本では、学校法人角川ドワンゴ学園の入学式でVRが活用されたことが話題となりました。ドワンゴ学園では、VRを活用して、文化祭や歴史の授業などに活用し、生徒の学校生活の充実、理解度を高めるユニークな狙いがあります。

 医療や福祉の分野において、大阪大学医学部ではAED操作訓練や、その他の医師育成訓練、患者のリハビリテーションなどにVRが活用されています。マーケティング分野では、SUUMOによる新築マンションの擬似内覧や、IKEAによる室内の家具の配置、素材、色の変更にVRを活用し、販売促進に活用されています。その他、スポーツ分野では、横浜DeNAベイスターズがテレビ中継では難しい臨場感あふれる試合や練習風景をVR映像としてファンに提供しています。

 米国Space VR社による宇宙空間のVR映像は、将来の宇宙旅行の旅行プランの比較、天文学などの教育、ストレス解消や精神的疾患の治療などの医療、映画、ゲーム、アトラクションなどエンタテイメントで活用されるでしょう。この宇宙を活用したVR事業は、まだブルーオーシャンの市場であるため、上記の分野以外での様々な展開が期待できます。(日経テクノロジー)