2010-10-01 欧州の宇宙往還機ARV、ATVの経験を生かして開発

欧州宇宙機関ESAは宇宙ステーションと地上を往復する輸送カプセルを発表しているが、将来の有人宇宙輸送機開発が実現するかどうかは、今年末に決定される予算に依存する。

ESAは今年末までに加盟国から、2020年までISSへの参加を継続する承認を得ようとしている。さらにISSと地上との間を輸送する有人カプセル開発に向けて最先端再突入カプセル(ARV:Advanced Re-Entry Vehicle)のさらなる開発の承認も求める予定である。

ESA当局によると、財政難の状況で如何にISSへの投資を2020年までに継続するのか、その方針をIACで発表した。ESA長官によると、2010年末までにESAメンバー国に対し、ISSへの参加を継続する意思を確認する予定である。

ロシアと日本はすでに5年の参加延長と予算確保を決定している。ESA、カナダ、そして米国は正式な延長の承認を待っている状態である。同時にESAはARVのフェーズB開発に向けた200Mドルの予算を要求する予定である。この開発ではATVから更に進んだ輸送機となる予定である。

来年スペースシャトルが引退した後には、欧州としてはさらなるATV片道物資補給機の生産が必要となり、物資輸送能力確保が必要となる。ARVは大気圏再突入のための耐熱シールド技術の開発が必要となる。

現在、アストリウムがフェーズAの開発契約を18ヶ月間の予定で実施している。契約金額は27Mドル。ESAが2012年にもフェーズBの開発が承認されると試験機打上げは2017年になる予定。初期段階の開発要求ではISSまでの輸送能力が4400ポンド(約2トン)、帰還物資が3300ポンド(1.5トン)となっている。