2008-12-12 こんなに長持ちするなんて〜通信衛星、新製品売れず)

 過去に打ち上げられた通信衛星が予想以上に長持ちしているため、新しい需要が生まれず、メーカーの航空・宇宙業界は喜びながら苦しんでいる。

 ロサンゼルス・タイムズによると、1967年に打ち上げられた米国の通信衛星「ATS-3」は、寿命3年を目標に設計されたにもかかわらず、41年が経過した現在も2万マイル上空で地球周回を続けている。これまで85年のメキシコシティ地震や80年のセントヘレナ火山噴火など、災害発生時には緊急通信の中継で活躍した。南極の科学者にインターネット接続を提供し、先月引退した「マリサットF12」も、設計寿命は5年だったが30年以上も動き続けた。

 ほかにも多くの衛星が、当初の予想をはるかに超える長期にわたって使われている。航空・宇宙・防衛産業の専門調査機関フォーキャスト・インターナショナルのアナリスト、ジョン・エドワーズ氏は、「製品が優秀な証拠ではあるが、衛星の製造業界はほとんど商売にならず苦しんでいる」と話した。

 ボーイング製品の場合、これまでに打ち上げられた衛星245基のうち166基が設計寿命を超えて機能し、3分の1は予想の2倍以上も長持ちしている。90年代には年間12基あった商業衛星の受注は、今年はわずか1基にとどまっている。この道29年という同社のベテラン技術者は「設計時にはあらゆる面で最悪の想定をしたが、最悪の状況が起きなかったから長持ちしている」と説明した。

 衛星の設計寿命は、初期は3〜4年と短く、その後7〜8年、さらに10〜12年と伸び、現在は15年が標準だが、軽く20年以上は持つと考えられている。現在、宇宙で機能している衛星の数は、極秘の軍事衛星も含め800基と推定される。(USFL.com)