2007-08-30 政府、日本版SBIR制度を拡充−宇宙・防衛分野を追加

 政府は、経済産業省など7省が参加・実施している「中小企業技術革新制度」(日本版SBIR制度)を08年度に拡充するのに伴い、防衛省、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が新たに参加する方向で調整に入った。宇宙や防衛といった先端技術分野で政府調達可能性のある研究テーマを加えることで、中小企業が同制度を使って開発した技術の利用を広げる。ただ技術を採用する際に大手企業に比べ、中小企業の技術評価が難しいため、評価手法のあり方などを今後詰める。

 中小企業技術革新制度は、中小企業の新技術につながる研究開発を補助金などで開発から事業化まで一貫して支援するもの。これまで中小企業が制度を利用して開発した製品・技術の活用先までフォローしていなかったが、技術の採用先をより意識することで制度運営の向上を目指す。

 政府調達の可能性のあるテーマを同制度に採り入れることで、中小企業は開発した技術を事業化に結びつけやすくなる。ただ、技術に不具合が発生した場合の対応も必要になる。このため、中小企業が開発した技術の客観的評価、不良発生時の対応など技術のマネジメント部分を今後詰める。

 拡充の柱としては、事業採択の段階でフィジビリティースタディー(FS)を本格導入する。従来、開発テーマから対象事業を選ぶ手法だったが、事業の採算性など実現性を詳細に検証するFSを加え、広い対象技術の中から段階的に支援対象を絞り込む手法とする(日刊工業新聞)

(編集者コメント:SBIR自身は日本の中小企業支援を真似た制度であったが、米ではよりブラッシュアップされ、日本の「お助け、お情け」的資金提供精神から、「啓発、促進、育成」の精神にコンバートされ、多くのベンチャーが起業に成功している。日本に逆輸入された日本版SBIRは、さらに日本的にコンバートされ、昔の「お助け、お情け」的資金提供に逆戻りしていた。これは日本の根本的な精神風土が「お上」の中に依然として江戸時代から脱却していないことを意味する。政治環境が新しい局面に入り、「戦後レジーム」からの脱却ではなく、「江戸レジーム」からの脱却にシフトされることを期待し、日本全体を挙げて独創性、創造性のある新しい企業が次々と誕生し、国際舞台で活躍できる日が来るような活気ある産業環境になることを期待したいものである。)