2007-08-23 「宇宙花火」西日本で見られるかも JAXAなど実施へ

 宇宙と大気の境界領域の様子を探るため、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などのチームが、鹿児島県・大隅半島からロケットを打ち上げて上空でリチウムを放出し、地上から観測する実験を計画している。リチウムは太陽光を受けて、赤く光りながら球状に広がるとみられる。この「宇宙花火」は、西日本各地から肉眼でみられそうだ。

  計画しているのはJAXA、北海道大、高知工科大などのチーム。30日午後7時23分、高さ8.5メートル、直径52センチのS―520観測ロケットを、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げる。ロケットは放物線を描きながら落下軌道に入り、高度250キロ(午後7時29分13秒)、200キロ(同29分53秒)、150キロ(同30分34秒)の3地点でリチウムを放出した後、和歌山県・潮岬の南約500キロの太平洋に着水する。

 観測するのは電離圏の高度100〜300キロ。電離圏はオーロラが現れ、国際宇宙ステーション(高度400キロ)の軌道もある領域。電離した大気と中性の大気が混ざり、複雑な流れをしている。250キロ以下になると人工衛星が回れず、50キロ以上には観測気球が上がれない。

 光は近畿から東海にかけては南南西、中・四国からは南、九州北部からは南南東に、地面に対して角度20度前後の高さに見える。「放出から最初の数秒で月と同じくらいの大きさ、明るさになる可能性がある」と研究チームの山本真行・高知工科大准教授。同チームが地上の4カ所からリチウムの広がりを観測するほか、高知や宮崎、愛知など西日本各地の高校で高校生が撮影に挑戦する。

 チームの観測地点のうち、3カ所以上で晴れないと打ち上げは順延される。打ち上げ時間は1日延びるごとに1分ずつ早まる。打ち上げチャンスは9月中旬まで。順延は打ち上げ直前までに決まり、同大のホームページで知らせる。(asahi.com)