2006-03-29 「ソラリス」を生み出したSF界の巨星、スタニスワフ・レム氏が死去

小説「ソラリスの陽のもとに」と、その映画版である「惑星ソラリス」「ソラリス」で知られ、IT界ではSun MicrosystemsのOS、Solarisの名前にも足跡を残すスタニスワフ・レム氏が84歳で死去した。

世界最高のSF巨匠の1人であるポーランドの作家、スタニスワフ・レム氏が3月27日、ポーランドのクラクフ市にある自宅で、心臓疾患との闘病の末、84歳で亡くなった。

 レム氏の著作は2700万部が販売され、40カ国以上に翻訳された。ロボットが支配する機械世界を描いた「宇宙創世記ロボットの旅」が1974年に初めて英訳され、称賛を浴びた。

 1961年に出版された「ソラリスの陽のもとに」は隔絶された宇宙ステーションを舞台にした物語で、出版から10年後、ロシアのアンドレイ・タルコフスキー監督により映画化され、2002年にはスティーブン・ソダーバーグ監督、ジョージ・クルーニー主演によりハリウッドでリメークされた。

 「午後3時直後(グリニッジ標準時13時)、血液循環系の問題で心臓病の治療中だったスタニスワフ・レム氏が死去した」とジャギエロニアン大学病院のアンドレイ・クリーグ部長はReutersに語った。

 レム氏は1921年9月12日、現在のウクライナ地方リビフ市に生まれた。第2次世界大戦以前には医学を学んでいた。戦争後、共産党の検閲により、初期の著作物の発行は禁じられた。

 共産主義が瓦解した1989年以降、レム氏はSFの執筆をやめ、政府および団体向けに近未来予想に関するリポートを執筆することに専念した。

 同氏はコンピュータ犯罪、インターネットの拡大により直面する技術的および倫理的問題についても執筆している。 (ロイター)