2007-08-21 民間のロケット開発ベンチャー ロケットプレイン、投資家からの支援に失敗(WSJ)

民間再使用型ロケットを開発するプロジェクトに大変重要な、民間投資家からの資金保証を得ることに失敗した。これは民間だけで実施しようとする宇宙開発に大きな打撃を与える可能性が出てきた。

ロケットプレイン・キスラ社は、民間の投資家グループとの交渉が決裂したと、関係者が語った。プロジェクトを継続するために必要な500ミリオンドル(約600億円)の目途が立っていないとしている。ロケットプレイン当局は新たな融資先を探しており、依然としてプロジェクトを成功させるための作業は続けると述べているが詳細なコメントは避けた。また広報担当者に接触することもできなかった。

情報に詳しい関係者によるとロケットプレーンの主な契約企業であるアリアント・テクシステムズ社はロケット開発プログラムの作業を停止しており、融資問題が解決するまで保留としていると述べている。しかし他の契約企業は継続している。

ロケットプレインにとって見通しは明るいにもかかわらず、交渉の失敗により数カ月間の資金調達期限に間に合わなかった。今回の騒動ではプロジェクトの遅れに部分的には責任がある一方で、他の投資資金を確保するために数カ月後は必要だろうと関係者は述べている。

このロケット開発プロジェクトはNASAにとってスペースシャトルに代わる将来の民間ロケットのひとつになる予定であった。またこのことは投資家にとっても十分利益を生み出す投資と期待されていた。

またロケットプレインは日本の宇宙機関向けに宇宙まで科学装置や他の物資を輸送することも期待されていた。また民間企業からも打上契約を獲得することを期待されていた。宇宙ステーションまで比較的低価格で物資を運ぶロケットを製造する構想で、パラシュートやエアバッグを使って地球に帰還するというシステムも含まれていた。

このプロジェクトは高額でリスクの高いベンチャー事業に大規模な投資家が支援をする最初のケースとして注目をされていた。提案中のロケットシステムはNASAからすでに30ミリオンドル(約35億円)以上が投入されている。

宇宙開発に長年関わってきた元ファンドマネジャーのジョン・ヒギンズボサム氏は、ロケットプレーンの苦難によって民間宇宙企業がだめになることはないだろうが、これまで投入された民間資本が膨大な額であるということと、最近の問題によって類似のプロジェクトに対する民間投資家の興味が著しく低下することが懸念される、と述べている。

民間資金の投入が行われるまで、NASAとしてはプロジェクトへの資金提供を一時中断している。予定では207ミリオンドル(250億円)が支給される予定となっている。

ロケットプレインは資金調達に向けて投資銀行のジェフリークウォータデックを迎えている。しかしながらシティグループのシティバンクと、ドイツ銀行との話し合いは不成功のままになっている、と情報に詳しい関係者が語っている。