2006-05-21 香大生の手作り衛星、地上実験に成功

 15センチ四方の超小型人工衛星の開発を目指している香川大の工学部生らが20日、実験用衛星の地上実験に挑んだ。実験は衛星と地上間のデータの送受信を確認するもので、パラシュートを付けた衛星を地上約40メートルから落下させると、GPS(衛星利用測位システム)を搭載した衛星から位置情報が地上に送られ、実験は成功。「宇宙空間への打ち上げ」という夢の実現に一歩前進した。

 開発に取り組んでいるのは、工学部の能見公博助教授(37)と研究室の学生ら。テザー(ひも)でつないだロボットを宇宙空間で使用する「テザー宇宙ロボット」の技術実証を目的に、昨年一月、衛星開発プロジェクトをスタートした。

 昨年四月と七月の二回、データの送受信や衛星を正確に制御できるかなどを調べる地上実験を行ったほか、今年一月から三月には微小な重力環境での動作特性を実験。それぞれの研究結果を基に改良を重ねている。本年度中の完成が目標。

 三回目となるこの日の地上実験は、香川県木田郡三木町池戸の同大農学部グラウンドに学生ら約三十人が集まり実施。学生らは、GPSを搭載した高さ約十二センチ、直径約十五センチの円柱型の衛星や二百五十ミリリットルのジュース缶を使ったものなど四機を気球で上空に上げ、投下。地上のパソコンとの間でデータが正常に送受信されることを確認したほか、衛星にあらかじめ緯度や経度を組み込んでおいた目標地点に向かってどれだけ制御できるかも実験した。

 工学研究科一年の安達章さん(22)は「回路や基板をうまく設計できていることが確認できた。成果を生かして完成につなげたい」と手応えを感じていた。

 次回の地上実験は、八月に香川県小豆郡土庄町豊島で行う。(四国新聞)