2018-02-02 中国で、民間商業宇宙レース加速 (原文

人工衛星とロケット打ち上げ分野で新規市場参入するスタートアップ企業が増加。

中国では民間国宇宙産業に参入する企業と投資家が急増している。宇宙産業のアナリストによると、過去3年間の数字を見ても、人工衛星とロケット産業に集中する企業は、近い将来、巨大な価値を生むだろうと期待されている。

2014年、中国の内閣にあたる国家評議会が、民間企業による人工衛星の研究、製造、打上げ、運用を許可するだろうと正式に発表している。このことで、中国起業家たちが発奮して航空宇宙産業界に新しいアイディアを投げ込むことを期待している。

この起業家の中にはヤン・フェンも含まれる。彼は衛星メーカのSpacetyのCEOで、湖南省の首都である長沙に本拠地を置いている。2016年に設立しされたSpacety社は4機の超小型衛星を打上げており運用している。衛星は主に科学研究目的に設計されている。顧客の大部分は大学と研究機関。それに若干の民間企業と協力している。同社の計画では今年中に15機の超小型衛星を打ち上げる計画で、それに成功すると商業衛星の大量生産の段階に入るとしている。

中国のロケット打ち上げ回数は2010年以来急激に増加しており、中国国内から過去50年間で打ち上げられた衛星の総数はおよそ190になる。他方で2017年11月のファイナンシャルタイムズの報告によると、中国民間企業が計画する今後2年間で打ち上げる衛星数は20機以上となっている。

この業界に民間が参入する制限を少なるするために、政府は2015年に宇宙技術分野で民間と軍事部門の協力を促すことで宇宙プログラムを促進する計画を2015年に策定した。その結果、中国での民間宇宙部門の急速な発展が結果的にもたらされた。中国の航空宇宙部門を民間に開放することで、民間企業が宇宙に参加する需要が高まる。中国では従来この分野は国有企業が支配をしていた。

例えば、クラウドサービス企業は宇宙部門でのデーター削減を実現したいと思っているし、Spacety社は宇宙ビジネスのカスタマイズや事業の開始を手助けすることも可能だ。

CubeSat世代

CubeSatという新生代の超小型衛星を扱う企業数が増加しており、ここ数年は異変人気を博している。彼ら自身で設計し、従来の衛星企業が開発してきた大型衛星に比べて、短期間低コストで提供できると、北京の宇宙産業コンサルタントのアルティメイト・ブルー・ネブラ社(Ultimate Blue  Nebula Co)創立者Lan Tianyi氏は述べている。

CubeSatは10㎝四方の微小衛星だが複数組み合わせることで様々な宇宙実験に使用されている。500kg以下の小型衛星を専門に宇宙空間に打上げる専用のロケットを見つけるのは容易なことではない。なぜなら従来のロケットは大型衛星用であるからで、現状では小型衛星は大型衛星の相乗りとして隙間に載せて打上げてもらっている。そのため、小型衛星が希望する軌道に投入することはほぼ不可能に近い。

このような背景から、小型衛星を専門に打ち上げる小型ロケットを開発する企業も誕生している。北京を本拠にするスタートアップのOneSpace社もその一つである。90億円ほどの資金を調達している。設立は2015年8月。2018年1月にこの会社はOS-Mロケットの液体燃料による姿勢制御用エンジンを開発した。今年6月に初のロケット、OS-Xを打上げる予定で、高高度研究に向けたサブオービタルテスト飛行を行う。2017年12月には固体燃料エンジンによるテスト飛行を成功させている。

しかしながら、OneSpace社は小型ロケット開発及び打上げサービスを行う中国での唯一の企業でもない。北京を本拠とするLand Space Technology社も同じく今年中にLandSpace-1ロケットの試験打ち上げを予定している。2017年1月、LandSpace社はデンマークの衛星メーカGOMSpaceと打上げ契約を調印し、中国では初めて国際市場で打ち上げサービスを提供する初の民間ロケット開発会社となった。Ultimate Blue Nebula社のLan社長によると、国営企業も小型ロケットに興味を示し始めている。例えば国営のハイテック企業、中国航空宇宙科学産業社(China Aerospace Science and Industry Corp:CASIC)も2018年には、主に商業目的で小型固体燃料ロケット、Kuaizhou (中国語で「fast boat」の意味)を打上げる予定である。

機会と挑戦

OneSpaceに80億円程度投資をしたQianhai M&Aファンド社長のXie Wen氏によると、中国はより多く研究と技術開発に集中すべきだと述べている。R&Dには長期間で多額の投資が必要であり、同時に民間セクターは技術が比較的成熟している民間市場に参入するのには適している。世界的な宇宙部門の市場は今後20年間で数十兆円規模に成長すると予想している。

アルティメイト・ブルー・ネブラ社のLan社長によると、打上サービス企業の事業の考え方は比較的簡単で、現在の高リスクと多額の投資が、後になってリターンが非常に高額になる傾向にある、とのこと。つまり、あるベンチャーキャピタルは市場を広範な視点で見渡しているところである。

さらにLan社長は、衛星企業は国内のスタートアップロケット企業を支援するためにも打ち上げサービスの注文予約をもっとたくさんだすべきだ、と指摘。このことで資金調達にもプラスに働き、研究期間と実際の打上げまでの期間を著しく短縮することができる。例えばSpaceXに事例のようにということである。SpaceXは最初のFalcon-9ロケットを2010年に初めて打上げる前に、すでに10機以上の打ち上げ契約を獲得していた。

ロケットに対する川下産業となる衛星産業の商業利用開発では期待を満たしているとは言えず、そのことから、ロケットのスタートアップ企業にとって初期の開発段階ではもしかすると困難な時期を経るかもしれないと、Qianhai M&Aファンド投資会社のXie社長は述べている。「米国の民間宇宙産業のように政府自身が1980年代から強く後押しをしているのと比べて、中国ではこの件に関してはまだ初期段階であり、いろいろ模索しているところです。」とのこと。彼は、国内の民間宇宙産業が今後はより早く発展し、そのためにも政府当局が前向きに学習し、開発を後押ししてくれるだろうことを期待している。

(訳:村川 変な訳もありますが、お許しください)